My Story vol.62
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「1980年創業のフォクシー。私母が築いた世界観を守り更新していくのが私の役目品格と快適を両立した理想のエレガンスを創造、ミッドランドスクエアでもオープン当初から絶大なる支持を誇る「フォクシー」。創業者であり、長年ブランドのアイコンとして愛されてきたミスリンこと、前田義子さんから、今年の春にフォクシーを継承した前田華子さん。クリエイティブディレクターに就任して約4ヶ月、当時の心境をこう振り返ります。が生まれる前から続くブランドの継承は、自分にその大役が務まるのかと不安がなかったわけではありません。物が落ちにくい深いポケット、洗えてシワになりにくい素材、さまざまなオケージョンに対応するデザイン……。母が子育てをしながら働くなかで必要と感じた実用性を、上品でスタイリッシュなデザインへと落とし込んだフォクシーのお洋服。その魅力はやりたいこと、楽しいことに前向きな、今を生きる女性たちを応援する力を持っていると感じています。その不変的な価値を継承しつつ、時代に応じてアップデートしていくのが私の仕事だと思っています。「アディアム」でのニューヨークコレクションやセレブリティの衣装制作の経験も、新しいエッセンスとしてクリエーションに役立てていきたいです」。先日、「勇気づけられる出来事がありました」と語る華子さん。「フォクシーのブティックに、著名な女性経営者の方がお買い物にいらして、ご自身とお嬢様2人分の計3着、お揃いのスーツをご購入いただきました。そのスーツは私がクリエイティブディレクター就任を発表した際に着用したもので(ポートレート写真参照)、写真を見て気に入ってくださったそうです。私はあいにくお会いすることができなかったのですが〝お母様からの〝Want=欲しい〟と心が素直に反ビジネスの継承、大変なこともあるでしょうが応援しています〟と、スタッフにメッセージを残してくださって……。お客様に自分が手がけた服を認めてもらえた喜びと励ましのお言葉は、これからも臆せず進み続けるためのエネルギーとなりました」。華子さん率いる新生「フォクシー」が大切にしたいと語るのは、〝ときめき〟です。「愛され続けるブランドであるために着やすい、扱いやすいといった日常に根ざしたクオリティは欠かすことはできません。ですが、ファッションには実用性だけでなく、纏う喜びがあると思います。〝Need=必要〟以上の、応するような服作りを、今まで以上に目指していきたいと思っています。Needより「Want」。心ときめく服を届けたい鎖骨やウエストラインが美しく見えるカットやシルエット、気分が上がるカラーやリボン、刺繍のデザインなど、高揚感のある美意識や遊び心は生活に彩りを添えてくれるものであり、豊かさの本質でもあると考えています。それはファッションに限らず、私自身の人生を楽しむフィロソフィーにも通じるものです」。今シーズンのコレクションから、華子さんがミッドランドスクエアのお客様におすすめの一着として選んでいただいたのは、カットワークの襟が印象的なニット。「イタリアの高級グレースウールのニットは、襟が取り外し可能。チュールスカートやデニム、ジャケットのインナーとして合わせるなど、スタイリングのアイデアが広がります。フォクシーのニットはチクチク感の一切ない心地いい肌触りを追求。日本の熟練された職人技による、その幸せな着心地を実感していただけたら嬉しいです。名古屋のカルチャーともいえる華やかなファッションとイメージがきれいに重なる、ワンピースもおすすめしたい一着。刺繍のような立体感と繊細な表情を持つ、カットワークジャカードを使用しています。モダンに着地する色味にもこだわり、奥行きあるエレガンスを演出しました。ワードローブの中に何十年と残る上質を提供し続けることも、日本のラグジュアリーブランドとしての使命だと思っています。フォクシーを長年ご愛顧いただいているお客様の信頼に応えるよう、よりよい物作りを目指していきます」。5歳からNYで生活、コロンビア大学卒業後に「フォクシー」に入社。副社長とPRディレクターを経て、2024年春に「フォクシー」のクリエイティブディレクターに就任。2012年にスタートした自身のブランド「アディアム」は毎シーズン、ニューヨークでコレクションを発表。ミシェル・オバマやアン・ハサウェイなど、海外のセレブリティの衣装も多く手がける。アート、旅、グルメと趣味も多彩。毎シーズン発表されるアクセサリー、小物類はフォクシーの上品でスタイリッシュな世界観をさらに高めてくれます。今季のワンピースは、透け感のある花柄のジャカード素材とスカートのフレアが女性らしさを演出します。ワンピース 税込¥170,500(フォクシー)フォクシー クリエイティブ ディレクター前田華子 Hanako Maeda05MIDLAND SQUAREInterviewee語らずとも伝わる品格、信頼のクオリティ。クリエイティブディレクター前田華子さんに聞く、「フォクシー」の今。FOXEY

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