カオスのシグネチャーアイテムと言えるのが、ジャケット。「メンズテーラーで仕立てたシックなものから、今のサイズ感にアップデートしたものまで常にお店にラインナップできるように。また歳を重ねると、背中が丸くなりがちですが、背筋がすっと見えるように、工夫しています」。こちらは、秋冬の新作でハーフコート感覚でも羽織れるジャケットです。

—「大人のための上質な日常着」でご機嫌に過ごす毎日を

 2023年4月にミッドランド スクエアにオープンした「カオス」。デビューから5年、着実にファンを獲得してきた注目のブランドです。
 「カオス」を立ち上げるに当たって、ディレクターに抜擢されたのが、当時フリーランスで活動をされていた櫛部さん。どんな思いを込めてブランドを作り上げたのか聞いてみました。
 「世の中に数多くのブランドがある中、 新しくブランドを立ち上げることの意味や、これからどんなものが必要とされていくのかを考え、“きちんとした物づくりをして、クローゼットに残るものを作りたい”という思いが強くなりました。ワードローブを見直すときに、捨てる服と残す服に仕分けをしますよね。そのとき、残す服に選んでもらえる服を作り続けたい。そのためにはデザインはもちろん、素材選びから縫製までのすべてに納得し、自信を持って世に送り出すことが大事。
 根底に流れるテーマは、『大人のための上質な日常着』。いいものを着ると、心地よくって、気分も高揚するので、特別な日にだけいいものを着るのではなく、日常でも上質なものを着ていただきたい。そんな思いでデザインをしています」。

ニューヨークのデザインチームが手がけた、3つのラインのタグ「カオスってどこにも書いていないの、気づきました? バイイングしたインポートと並んでいても、フラットな目で見ていただきたくて、タグのデザインにもこだわりました」

— 3つのラインで表現する「カオス」の世界観

 カオスのオリジナルアイテムには、「Gentleman/Lady」、「Confusion/Silence」「Chic/Rudeness」の3つのラインがあります。「人には誰もが2面性があって、それが人間らしくて面白いなと思い、それぞれ相反する言葉を揚げ、デザインで表現しています。
 「Gentleman/Lady」は、ジャケットをメインにしたカオス基本のラインです。スモーキングジャケットや側飾パンツが定番で一貫してウールでオールシーズン着られるアイテムです。
 「Confusion/Silence」は、今日はリラックスしたいなっていう日のための、特に心地よい素材にこだわったライン。リネンアルパカコットンのシリーズは、着ていくうちに肌に馴染んで育っていく感じで長く愛用していただけます。
 「Chic/Rudeness」は、トレンド感のあるラインですが、通勤着に適したアイテムも多くあります」。

2023-24 AWのテーマは「TIME」。ヴィンテージのグレーのスウェットを集めて、それぞれの胸に古代エジプトの象形文字で「TIME」と刺繍を入れた1点モノです。

— 風がフッと流れるような心地よい空間づくり

 現在は軽井沢にお住まいで、大自然に囲まれたスローライフを満喫しながらデザインワークをしている櫛部さん。ミッドランド スクエアのお店にも、ナチュラルな空気感が漂うのは、その影響なのかも。
 「ミッドランド スクエアを視察した時に、シックな雰囲気が素敵で、一目で気に入りました。
 広々とした空間に風が通るようなお店にしたいと思い、メキシコのユカタン半島のリゾートのイメージでインテリアを考えました。お店というよりも、家にいるような落ち着きを感じていただけたら嬉しいです」。

まるで家にいるかのようなインテリアで、ベッドのコーナーや水の出るシンクもあるのは、ミッドランド スクエア店のみ。インテリアファブリックも販売して、ライフスタイルを提案しています。

Profile

Chaosディレクター

櫛部 美佐子さん

Misako Kushibe

3F Chaos

さまざまなブランドでデザイナーおよびディレクターを経て、2018年に“大人のための上質な日常着”をコンセプトにセレクトショップ〈Chaos(カオス)〉を立ち上げた。2023年秋冬、〈Chaos(カオス)〉から登場する新ブランド〈DEGAGE(デガージェ)〉のディレクションもスタート。プライベートでは2020年に軽井沢に住まいを移し、週に2日間東京のオフィスに通い、自然を大切に過ごすライフスタイルにも注目が集まる。