「中学生のときに読んだ漫画「頭文字(イニシャル)D」の影響が大きいです。でも、レースをやるのにはお金がとてもかかるし、また、小さな頃からレーシングカートをやって実績を持っていないとなれない、と高校生になるにつれ、わかってきました。でも、クルマ好きなのには変わりなく、高校卒業後は整備士の専門学校に通い、ガソリンスタンドでアルバイトをし、地元熊本の峠道を走るような日々を送っていました」
「クルマで事故を起こしてしまい、ケガをして入院することになってしまったのです。その時に、母から公道よりもサーキットで走ったら? と言われたのです。そこでいろいろ調べて、若手レーサー育成のプログラムに応募しました」
「鈴鹿サーキットを舞台に、パーツメーカーとレーシングガレージが選手を育てるものです。半年間の選考を経たのですが、最終的には落選してしまいました。でも、ガレージの社長が個人的にバックアップしてくれて、FJ1600というカテゴリーのレースに参戦できました」
「当時は20、21歳でした。まだまだそれだけでは生活できませんでした。ですので、他の方のレースの手伝いをして何とか生活ができていたようなものです」
「3つのカテゴリーに参戦していますが、いずれも同チームの車両で出場しています」
「服部尚貴選手との出会いがすべてです。服部さんはいろいろな人を紹介してくださいました。そのなかで、埼玉トヨペットGreen Braveへ推薦もしてくれたのです。服部選手は憧れであり、目標でもあります」
服部尚貴選手は、フォーミュラニッポン、スーパーGT、ルマン、そしてF1でも活躍の現役レジェンドレーサーである。
「年齢関係なく、やはり夏場のレースはキツいです。とにかく暑さと湿気にやられます。ひどいときには1レースで2kgほど痩せていたりするほどです」
「一般的なフィジカルトレーニングは欠かしませんが、とくに鍛えているのは目です。動体視力は年とともに衰えてきますので名古屋にあるビジョントレーニングというところでやっています。それはモグラたたきのようなものや、8桁の数字を瞬時に記憶するなどです」
「視野を広くすることで、危険を回避できたり、抜くポイントを見極めることができます。前方だけではなく、後方、横を見て、何をするべきなのか、瞬時の判断することを求められます」
「休日という考えはありません。他の選手に比べて、小さな頃にカートをやっていなかったですし、レースに契約金をいただいたプロとして参戦したのもまだ5年ほどですから、経験が少ない分、オフもトレーニングしたり、カートで走ったり、今日のようにジェントルマンレーサーの方のコーチのお仕事もさせていただいてます。常にレースに関連することをしていないと不安になるんです」
「映画は好きですね。一か八か、勝利か無かという意味の『オール・オア・ナッシィング』というスポーツドキュメンタリーがとくに好きです。これを遠征先のホテルなどで観て、モチベーションを上げています。結局、レースに繋がってしまっていますが(笑)」
「クルマという道具を使うので純粋なスポーツと思わない方がいらっしゃるかもしれません。しかし、その道具に結果は左右されます。また、ドライバーだけではなく、ピットクルー、エンジニアなど数多くのスタッフが一緒に戦っています。たった一人のミスで勝利を逃すことがあります。すべてがかみ合わないと勝てない、総合競技がモーターレースだと思います」
「まずはサーキットに来ていただきたいです。音、におい、クルマの動き、人の感情をご自身の五感で触れていただきたいです」
「デビューした鈴鹿には思い入れがありますし、実際走り慣れています。でも、苦手なのに勝っているのが富士スピードウェイなんです」
「ありがとうございます。今シーズンは車両がスープラに替わり、さらに外注のメカニックを雇うことなく、すべて埼玉トヨペットの社員メカニック、スタッフで構成しています。また、タイヤ無交換の作戦を成功させることができ、力を尽くして下さった皆さんの前で、結果を出せたのは嬉しかったですね」
「はい、もちろん。レーシングチームのガレージやホテル、温泉など、モータースポーツのアミューズメントビレッジが出来ると聞いています。とても楽しみですよね」
「サーキットというとやはり郊外にあって、アクセスしづらい印象がありますが、富士スピードウェイはちょっと違いますよね。東京から1時間切ると聞いており、とても助かります」
「これまで応援してくださった方々に加え、お子さんや女性も含め、家族みんなで楽しめるようになるといいですよね。モータースポーツが文化として日本にもっと根付くきっかけになってくれることを願っています!」
「ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願いします!」
富士スピードウェイでの勝利が大きな節目となった、という。そして今シーズン、すべてのカテゴリーで総合優勝を目指すとも。吉田選手に大きな声援を送りましょう!